焦れ甘な恋が始まりました

 



「……そういえば、日下部さん」

「うん?」



寂しくなる。寂しくなる……けど。

もしかしたら私も……総務部から、離れることになるかもしれないんだ。



「総務部から企画部に、異動するって本当ですか……?」


「え……」


「実は、少し前に総務部長と企画部長が話してるのを、偶然聞いてしまって……」



けれど、まるで、そんな私の心の内を見抜いたかのように。

唐突に小出ちゃんから投げられた話題に、思わずテーブルの上のジンジャーエールの入ったグラスを取ろうとした手が止まった。



「企画部が、日下部さんを欲しがってるって。それで、日下部さんは企画部に異動になるからって…………」



結婚式の二次会ではお決まりの、ビンゴゲームで盛り上がる会場内。


二次会の幹事兼司会進行をしている人たちと一緒に、小出ちゃんの旦那様である新郎は前で盛り上がっていて。


その騒がしさから少しだけ離れて話す、私と小出ちゃんはそれをどこか遠くで眺めながら、お互いの顔を見て少しの沈黙を作った。