「俺たちのVENUSは、他のハコには絶対に負けない自信がある。そうじゃなきゃ、世の中には送り出さない」
「っ、」
「それは誰より、狩野……お前がわかっていることだろう?お前が今日まで必死に取り組んできたモノは、そんな規模の違いくらいで負けてしまうようなモノなのか?」
社長の、その試すような口振りに。
下を向いていた狩野くんが、力強く顔を上げた。
――――真っ直ぐな目。
その目にはやっぱり、強い意志が宿っていて……もう一度握られた拳には、改めて確固たる決意が込められたように思う。
「VENUSは、他の何にも負けない――――人を幸せにする施設です」
「それなら、どうする?」
「このまま……ウチはウチらしく、やりましょう。堂々と、受けて立ちます。くだらない意地でオープン日をぶつけてきたことを、後悔するくらいに最高の形で迎え撃ちます」
狩野くんのその迷いのない言葉に、社長が満足そうに微笑んだ。
そうして改めて、プレスをデスクの上に置くと落ち着いた口調で言葉を紡ぐ。



