焦れ甘な恋が始まりました

 


「狩野の言う通り……冗談で済む話じゃないのは確かだ。長年の信頼関係を犠牲にしてまですることではない。……理由が理由だしな」


「だったら……っ。やっぱり、すぐに現真野社長のところへ抗議の電話を入れるべきじゃないですか!!これ以上、悪い方向に進まないように……早く、オープンを延期するように……っ」


「…………それは、無理だと思います」


「え?」


「向こうに、こちらの思いを優先してオープンの延期を強要したら、それこそ両社の関係が悪化してしまいます」



狩野くんの言葉に思わず口を挟めば―――三人の視線が一斉に、私へと向けられた。


それに一瞬、気が引けてしまったけれど。

すぐに拳を強く握った私は、臆することなく至極冷静に、“ 総務部 ” として言葉を紡ぐ。


会社に勤めて7年の間で見てきた、経験と状況の把握を頭に入れた上で、私が思う意見を。