苦笑いを零す下條社長を前に、私たちは空いた口が塞がらなかった。
だ、だって、本当に、そんな子供みたいな理由で……?っていうか、そんな理由で大切な施設のオープンを早められるものなの……?
「まぁ、そんなわけで。今回のことは、元を辿れば俺が優秀過ぎるせいだと真野会長には叱られたよ。完全にただの八つ当たりだよなぁ……俺が優秀過ぎるのは否定はしないけど、そんなの俺のせいじゃないし?」
社長の冗談とも言えない冗談に、誰一人として返事を返すことができなくて。
そうすれば、「いや……今のはツッコんでくれないと、俺が痛い奴になるだろ?」と、結局苦笑いの社長が自分でツッコミを入れる羽目になる。
「でも……社長。いくらそんな、子供みたいな理由で今回のことが起きたとしても……それは、冗談では済まされません。実際、ウチのVENUSのオープンが危ういんですよ……?マスコミだって、集客率の高い大型施設に飛び付くに決まってます」
――――VENUSは、俺が初めて主導で任された仕事だし、少しの妥協もなく世に出したいんです。
つい先程、瞳を輝かせながら、そう語っていた狩野くん。
狩野くんからすれば、言葉の通り……ただのヤキモチでこんな妨害行為みたいなことをされたら、本当に堪らないだろう。
冗談では済まされない。
ヤキモチなんて理由で掻き回されたら、今日まで必死に仕事をしてきた皆の思いが報われない。



