溜め息を吐き出した社長は、座っていた椅子から静かに立ち上がると、デスクに置いてあったVENUSのプレスを手に取った。
ギシリ、と唸った椅子の音がやけに耳に残って、また一つ胸に重石が落ちる。
「真野さんが会長に退いてからも……経営権は真野さんが持っていたんだ。だから、真野さん……いや、真野会長が、つい最近まではあの会社を動かしていた。
だけど最近、突然体調を悪くされたらしくて。それで急遽……経営権を握ったのが、真野会長の息子の、現真野社長というわけだ」
「現真野社長……」
「ああ。だけど彼は……俺が言うのも何だか、正式に社長に就任するより前から独裁的だと有名で。次期社長という立場に胡座をかいて、あまり下の社員たちの意見や存在を尊重せずに今までやってきたらしい。そんな理由もあって、真野会長は会長職についてからも経営権を手放さなかったんだが……」
「……それなら、今回の新施設オープンの日程も、その現真野社長が?」
「……ああ。ついさっき、確認が取れたところだ」
「っ、やっぱり!!ただの嫌がらせじゃないですか!!」



