焦れ甘な恋が始まりました

 


✽ ✽



「日下部さん、内線2番に下條社長からお電話入ってます」


「はい……って、え、社長から?」


「はい、社長からです。ご用件は仰ってなかったんですけど……」



小出ちゃんの結婚話から始まった火曜日。


お昼休みが始まる直前、突然社長からの内線を廻されて、私は理由を考える間もなく受話器を取った。



「……お電話、変わりました。日下部です」


『あ、日下部さん?ごめんね、急に。昨日の件で、少し提案したいことがあるんだけど、お昼休みになったら社長室まで来てもらえるかな?』


「はい……それは、大丈夫ですが……」


『良かった。それじゃあ、またあとで』


「え?あ、あの……っ」