けれど、つい感慨にふけっていれば、不意に落ちてきた不穏な声に頬を叩かれた気分になった。
その声はパソコンに向かっていた小出ちゃんのもので、言われるがままに小出ちゃんのパソコンの画面を覗き込んだ私と狩野くんは――――
そこに書かれていた内容に、思わず血の気が引く思いに晒される。
「これ……今度オープンする、うちと競合してる温浴施設のプレスなんですけど。挨拶状と一緒に総務部宛にメールでプレスが添付されて送られてきてて……これって、少し不味くないですか?」
「っ、ちょっと、よく見せて……!!」
ガタン、と、小出ちゃんの身体を乱暴に押し退けた狩野くんは、肩を強張らせながらパソコンの画面を覗き込んだ。
そしてすぐに、狩野くんも、それは見間違いではないと判断したらしい。
「……社長に、話してくる。午後から打ち合わせで社外に出るって言ってたけど、今ならまだ会社にいるだろうし!!」
「あ……、狩野くん!!」
そうして、転がるようにフロアを飛び出した狩野くんの背中を、私はただ視線だけで追い掛けるしかできなかった。



