焦れ甘な恋が始まりました

 


「おめでとう。彼の希望で、小出ちゃんも納得してるなら、それが良いね。前から聞いてた話だと素敵な彼みたいだったし、良かったね?」


「はい、ありがとうございます。日下部さんには、新人の頃からたくさんお世話になって……退職するのが、今からとても寂しいです」



そう言う彼女、小出ちゃんは私と同じ総務部の三つ下の後輩で、私がこの会社に入社してから初めてできた後輩でもあった。


だからこそ私自身も彼女には思い入れが強く、彼女が幸せになることが嬉しい半面、退職してしまうのが、とても寂しくもある。



「私も、小出ちゃんがいなくなっちゃうのは寂しいよ。でも、彼にたくさん幸せにしてもらってね。結婚式はやる予定なの?」


「はい。お互いの希望で東京の式場を、一応、半年後に押さえました」


「そっかぁ……小出ちゃんのウエディングドレス姿、絶対綺麗だろうなぁ。会社はいつまで?入籍に合わせて退職するの?」


「はい。一応仕事は結婚式前に……本当に急で申し訳ないんですけど、延ばせば延ばすほど、辞めるのが寂しくなってしまいますし……」


「そっか……それじゃあ、あと約半年だね」