焦れ甘な恋が始まりました

 


「今の時代ですから、もちろん年会費は無料で。だけど、ポイントカードを作ってもらうことで顧客の囲い込みもできますし、社長からご指摘のあった半額券のように一過性のものにならないから、リピーターの確保にも繋がると思うんです」


「……オープニング期間以外での使用例は?」


「それは先程、狩野さんが言っていたようにイベント時にはポイントが2倍になるキャンペーン等を組めば問題ないかと思います。
そもそも、ポイントカードを持つことでポイントを貯める楽しみもできますし、ポイントカードは一年中ユーザーのお財布の中で、VENUSの宣伝をし続けてくれるんです。不意にお財布の中からポイントカードが出てきて “ ああ、久しぶりに行ってみようかな ” って思うこと、私は良くあります」


「……そうか。それに、ポイントカードを作ってもらうことで、顧客情報も確保できてDMも打ちやすくなるし、イベント情報を流しやすい」


「はい。リラックス部門で新しいエステが始まった時や、新しいサービスが出来た時、そして新メニューの提供が始まる時にもDMを配布しやすいと思うし、そういうのって女の人は、ついつい見ちゃったりするものです」



そこまで言って、つい先日、自分もそれで化粧品の買い物に走ったなぁ……なんてことを思い出したら笑みが零れた。



「…………、」



……と。

ふと、視線を感じて目を横へと滑らせる。


すると隣に座る狩野くんが、何か言いたげな顔で私を見ていて、それに思わず首を傾げてしまった。