「…………社長の、ご指摘通りです。自分も少し、安易なものに走りすぎました」
長い間を空けて。社長の言葉に、自信なさ気な返事をした狩野くん。
また少しの間を空けて、狩野くんは机の上に広がった資料と企画書を慌ててまとめると、そのまま席を立つ準備をする。
その拍子に、企画書の中の1ページがソファーと机の間に音もなく滑り落ちた。
「また……一から考え直します。お時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした」
「企画部が仕事に追われているのもわかっているが、それはどの部署も同じだ。それに、俺はお前なら出来ると思って、今回のオープニング企画を任せたんだ。大変かもしれないが……よろしく頼む」
「……はい」
そう言うと深々と頭を下げ、ソファーから立ち上がる狩野くんを見て―――――
どうして、この時の自分が口を開いたのかわからない。
だけど、狩野くんの提案と社長の話を聞いていて。
後輩の狩野くんが、必死に頑張っているのを見て……
ほんの少しだけど。
私にも、何か出来るんじゃないかと思ったことだけは、確かだ。



