焦れ甘な恋が始まりました

 


「……話は、わかった。だけど、半額券をバラ撒くのは許可し兼ねる。そもそも、その半額券は推定でも何枚撒く予定なんだ?使用期限は?」


「枚数はまだ確定してませんが、使用期限は半年程に設定しようかと考えています」


「半年?それは、期間が長すぎるだろう。使用期限が長ければ長いほど半額券の存在は頭の片隅に追いやられていくし、集客の即効性に欠ける。バラ撒いた半額券の回収率が落ちていくばかりだぞ」



けれど、そんな風に社長と狩野くんのやり取りを、ぼんやりと聞いていれば、突然口を開いた社長は、たった今された提案に厳しい言葉を投げ始めた。



「そもそも、半額券はその場限りの集客性はあるかもしれないが、長い目で見たら施設の足を引っ張るものにもなり兼ねない。率直に言えば、商品を安売りして客を呼ぶってことだからな。それを踏まえた上で、半額券の期限が切れたあとのリピーターの確保はどう考えてる」


「そ、それは、キャンペーンを組んだりイベント毎に、定期的にまた半額券を広告に挟むなどすることで対処を……」


「それだと、ユーザーに “ 半額券を使わずにリラックス部門を使用するのは勿体無い ”という印象を植え付けることになって、半額券の配布されていない期間は客足が途絶えるぞ。少しでも安く、は買い手の心理だし、ターゲットが女性であれば尚更だ」