焦れ甘な恋が始まりました

 


そんな自分の運命を、学生時代は悲観したこともあったけれど、今では自然体で受け止められている。


別に両親に罪があるわけでもなし。

蘭と陽も、あの容姿のせいで苦労しているところも多少はあって、今では普通に生まれて良かった……なんて思うことも少なくない。


もちろん、劣等感が全く無くなったかといえば嘘になるけれど。




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「え、結婚?」

「はい、そうなんです。彼が突然、私の誕生日にプロポーズをしてくれて……それで、もうなんだか急に話が進んじゃったんです。今時、寿退社なんて流行らないのも分かってるんですけど、彼の希望もあって、しばらくは家庭に専念させて頂くことに……」



とても幸せそうに微笑みながら話す小出(こいで)ちゃんを前に、そういえば彼氏と長いって言ってたな……なんて。


そんな、身も蓋もないことを思い浮かべた。