「ごちそうさま。本当に美味しくて、元気になった。これで、しばらくは頑張れそう。日下部さん、本当にありがとう」
「……いえ。少しでも、社長が元気になったのなら、良かったです」
お弁当の最後のオカズを平らげ、「ごちそうさま」と手を合わせた社長を前に、溢れる笑み。
綺麗にカラッポになったお弁当箱を片付けながら社長を見れば、社長も私を見て柔らかに微笑んでくれていた。
その笑顔を見るだけで……愛しさが、溢れだして。
つい社長の温もりが恋しくなって、私は慌てて社長から目を逸らして俯いた。
「久しぶりに……社長に手料理を目の前で食べてもらえて、嬉しかったです。こんな風に時間を共有できて……私の方こそ元気になれました」
「……日下部さん」
「っ、」
……いけない。
言ってから慌てて取り繕うように目を泳がせたけれど、それは後の祭りだった。
今のはつい……口をついて出てしまった私の本音。
だけど社長は単純に、手作りのお弁当に感動しているだけで、私に特別な感情を抱いているわけじゃないんだから。
社長は……私に、母のような愛情を求めているだけで、私が社長を慕う恋心とソレは別物。
これ以上、変な期待や感情を抱かないようにブレーキをかけないと、傷付くのは自分だ。
それに、そうでもしないと。いつか私は自分から、取り返しの付かない事故を起こしてしまいそうで――――



