立石さんが言っていた “ ご好意 ” は、御用聞きのことを言っているのか、それとも手料理のことなのか……
どちらにせよ、今も絶対、気を使ってくれていることだけは確かだ。
何か変な誤解をされてなければいいけど、それを確かめる術もないし……
「なんていうか……ホント、新感覚だな」
「…………え?」
「この、冷凍卵黄漬け?だっけ。めちゃくちゃ美味い。温かいご飯に乗せると、冷たい黄身がトロッと溶けて……ホント、初めて食べる卵かけご飯」
と。
また、ぼんやりと意識を浮遊させてしまっていた私は、社長の声に呼び戻された。
見れば、お弁当の白いご飯に冷凍卵黄漬けを乗せ、それをお箸で綺麗に割ってみせる社長。
綺麗な濃い黄色が、白いご飯に良く映える。
「卵の表面は冷たくて……だけど噛んだ瞬間、口の中で黄身が溶けて広がっていく感じ。漬けダレの醤油とミリンの味が染みてて、これだけで、ご飯何杯もいけそう」
本当に美味しそうに目を細め、幸せを噛み締めるようにお弁当を食べてくれる社長。
以前、部屋にお邪魔して手料理を作った時もそうだったけど……社長は本当に、幸せそうにご飯を食べてくれるから。
きっと、社長の奥さんになる人は幸せだと思う。
自分が作ったものを、「美味しい」と言いながら、残さず綺麗に食べてくれる。
それだけで、作り手の想いは報われるんだもの。



