社長は未だに諦めきれずに、自分の車で出社したがってるらしいけど……
再び小さく、ふぅ、と息を吐けば、チン!という軽やかな音が誰もいない給湯室に響き渡った。
私は備え付けられたティーパックの緑茶を紙コップに注ぐと、温まったお弁当とそれを持って給湯室を後にする。
そうして社長室に戻れば、ルンルン、なんて効果音が聞こえてきそうな社長と目が合って、思わず苦笑い。
楽しみにしてくれていたのは、凄く伝わるけど……それなら、もっと手の混んだ内容にしてくるんだったなぁ。
「いつも、本当にありがとう。お弁当も、ホントに嬉しい。……最近は、日下部さんの料理のお陰で、無理をしてるのに体調も随分良いし」
「それは、喜んでいいのか悪いのかわからないですね……」
まるで子供のように嬉しそうにしている社長を前に困ったように笑えば、ヒョイ、とお茶が手から攫われていった。
「体調も悪い上に、無理もしなくちゃいけないなんて最悪だから、喜んでくれていいよ?ちなみに俺は今、最高に嬉しい」
……と。
社長はお茶を片手にソファーに身体を沈めながら、やっぱりとても嬉しそうに笑った。



