焦れ甘な恋が始まりました

 


「……俺、手作りの弁当とか、初めて」



キラキラと星が飛ぶような目を向けられて、逆に居た堪れなくなってしまう。


だって、お弁当の中身は、そんな大袈裟なものではなくて、極一般的なお弁当のオカズばかりだし。


あんまり期待されると……出し難くなるんだけどなぁ。


心の中で、ひとりごちながら改めて社長を見れば、社長の視線は相変わらず真っ直ぐに、私の手の中のお弁当に注がれていた。



「そちらの給湯室で、温めてからお持ちしますね。社長は気にせず、お仕事なさっていてください」



そう言うと、お弁当を手に持ったまま社長室を出て、少し離れた場所にある給湯室へと向かった。



「…………ふぅ、」



そうして、給湯室で小さく息を吐いた私は。

レンジ対応の曲げわっぱのお弁当を電子レンジに入れて温めている最中、ここ2ヶ月のことを思い出していた。