焦れ甘な恋が始まりました

 


「今週は、少しでもスタミナが付くようにと思って、お肉料理を多めにしました。牛肉とニンニクの芽炒め、豚の角煮、ささみと大葉のチーズチキンロール」


「んー、」


「白身魚の南蛮漬けとロール白菜に、ひじきの煮物……それと、冷凍卵黄漬けです」


「……冷凍卵黄漬け?」



そこでようやく資料の山から顔を上げた社長が、怪訝そうに私を見た。


それに思わず苦笑いを返せば、「日下部さん!?」と驚いた様子で目を見開いた社長は、慌てて乱れたスーツを直してから、改めて私に向き直る。



「いや、話を聞いてなかったワケじゃない……!ただ少し、こっちの仕事に集中してて……」



その仕草と言葉に、思わずクスリと笑みが溢れて。


慌てる社長とは裏腹に、仕事に没頭する姿を見ると営業部時代の下條さんを思い出して……


私はなんだか、とても懐かしい気持ちになった。