焦れ甘な恋が始まりました

 


……本当に、下條社長が社長に就任してからの3年間で、今が一番忙しいような気さえする。


もちろん、年末年始はそれだけで忙しかったりもするのだけれど。


こんなにも、バタバタと社内で忙しさと賑わいがひしめき合うのは本当に久しぶり。


だけど、その中でも……特に忙しいのは、企画部だった。


企画部は広報関連に関わらず、新コンセプトに伴った施設で展開する飲食の打ち合わせやメニューの作成を、夜遅くまでしているとかいないとか……


正直、そこに関する情報が薄いのは、企画部と総務部の関わりが、必要以上に無いからで。


営業部を通して聞いて忙しいのは知っているけれど、具体的にどう忙しいか説明しろと言われても、それは困難なことだった。


それなのに何故……企画部が忙しいことだけは、ハッキリとわかるのかと言えば。


私が今、営業部のフロアと社長との間の、“ 御用聞き係 ”になっているから。



「それじゃあ……今日も、社長のところに御用聞きに行ってきます」


「いつも、ご苦労様ですー」



言いながら、慣れた面持ちで席を立って向かうのは、下條社長の待つ社長室。


予め営業部から任されたいくつかの資料を手に持ち、それと同時にさり気なく保冷バックを冷蔵庫から取り出すと、私は堂々とフロアをあとにした。