焦れ甘な恋が始まりました

 


そこまで言って社長を見上げながら微笑めば、再び身体が強く抱き締められた。



「……っ、」

「……ほんと、たまんないな」



沸騰したように、熱い身体。

少しでも気を抜けば逆上せてしまうような感覚を覚えながらも―――何故か心は驚くほど冷静だった。


……ううん。冷静なんかじゃ、ない。

これは、冷静なんじゃなくて……

私の心が、深く傷付いているんだ。


ああ、おかしいなぁ。

元カレに面と向かって言われた時には、こんなにも悲しくならなかったのに。


こんなにも、胸を切り裂かれたような痛みは感じなかったのに。


それなのに、今は――――



「…………もう、俺のものにしてもいい?」



どうしようもなく苦しくて、悲しくて、たまらない。