「本当に、感謝してるんだ。あの時があって、今の自分がいる。今の自分がいるのは、あの頃の俺を支えてくれた皆のお陰だ。
だからこそ俺は……そんな皆のためにも、今度はトップとして、もっとしっかりしなきゃと思うし、そんな皆が大切にしてるものを守りたいとも思う」
「社長……」
「……なんて、ちょっとカッコつけ過ぎたかな?
まだまだ、こんな大それたことを堂々と言えるほどの人間にはなれてないから」
それだけ言うと、やっぱり困ったように笑った下條さんは、強気な言葉とは裏腹に……大きな不安も抱えているのだと改めて思い知った。
それは、そうだ。
社員全員の人生どころか、その家族の人生を背負っているのと同じなのだから。
社長の采配や選択一つで、彼らの生活だけでなく家族の人生を、大きく変えてしまうほどの。
一人で背負うには、到底耐えられないほどの重みとプレッシャーを常に抱えながら、社長はトップの椅子に座っている。
それでもこんな風に……社員を大切に想ってくれるトップがいる企業は、この世界にどれだけあるだろう。
下條社長は……本当に、責任感と優しさ、愛に溢れた人だと思う。
改めて私は、そんな社長の下で働けることを誇りに思う。
―――…でも。
だけど。



