焦れ甘な恋が始まりました

 


✽ ✽ ✽



「このハンバーグ、なんかフワフワしてる」


「ああ、はい。お豆腐を一緒に捏ねてタネを作ったので」


「ハンバーグに豆腐?そうすると、こんな風になるの?」


「はい。豆腐ハンバーグの時は、挽き肉よりも水切りした豆腐を多めに入れたりしますけど。でも、社長はやっぱり男の人なので、食べ出のあるものがいいかと思って、お豆腐は気持ち程度にしました」


「へぇ。それにしても、豆腐入れるって考えたね」


「ふふっ。今では、結構良く知られた手法ですよ?お豆腐は万能なんです。栄養価は高いし、お豆腐をお肉の代わりに使えば、ナゲットなんかも出来ますし」


「ナゲットも?それは一度、食べてみたいな」



社長は私が作った料理の一つ一つに丁寧に感想をくれた上で、全てに「美味しい」という言葉を添えて笑顔を見せた。


疑問に思ったことも、逐一聞きながら。


お陰で、食卓についてから一切会話が途切れない。


だけど、そんな風に自分が作ったものに興味を持って、尚かつ美味しいと言いながら食べてくれるのが、たまらなく嬉しくて。


こんな風に男の人と向かい合い、笑顔を浮かべながら食事をするのは、いつぶりだろうと考えた。