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「それは、何を作ってるの?」
「……ひゃっ!?」
結局、料理を始めてしまえば社長の家だということも忘れるくらいに没頭してしまった私。
そんな私は、間違いなく油断していた。
宣言通り、お風呂に入ってきた社長は、薄手のロングTシャツ、下はグレーのスエットという姿で再登場して。
その、普段会社では絶対に見れないラフな格好に、思わず言葉も忘れて釘付けになってしまった私は、余計なものまで見てしまったのだ。
「すごい、良い匂いする」
ち、違う意味で良い匂いがするのは、社長の方ですから……!
思わず心の中でツッコミを入れる私とは対照的に、柔らかに微笑む社長は完全に無防備だった。
薄着な分、やけにハッキリと見える身体のラインとか。ブイネックの首元から覗く、綺麗な鎖骨とか。
しっかりとセットされた髪ではなく、半乾きの髪は下ろされていて幼く見えるはずなのに――――何故か、強烈に色っぽいことだとか。
「何か手伝おうか?」と、親切でキッチンに社長が入ってきた瞬間、再び、とても上品なシャンプーの香りが鼻をかすめて、慌てて「大丈夫なので、座っててください!」と、その身体を押し返した。
…………私、完全に変態みたいじゃない?



