焦れ甘な恋が始まりました

 



「ち、違います!さすがに、私もこんなにたくさん食べれませんし、お弁当はお昼休みに食べました……!」


「いや……そうかなぁとは思ったんだけど、お昼を食べ損ねたなんてこともあるかもしれないと思って。でも、お昼にお弁当を食べた割には、その中に凄い量、色々入ってそうだね」



言いながら、しげしげと巨大保冷バックを見つめる社長を前に、恥ずかしさで穴があったら入りたい気分になった。


だって、寄りにも寄って社長に……!

私が大食いか何かだと思われたら、それこそ蘭を恨んでも恨みきれないよ……!



「ち、違うんです、実はこれ……中身は一週間分のお惣菜(そうざい)で」


「お惣菜?」


「はい……毎週月曜日の仕事帰りに、休日に作り置きした手料理を届けるんですけど……。実は今日になって仕事が忙しくて、しばらく家に帰れないから受け取れないって、相手から言われて……」


「え、」


「それで泣く泣く、今から自宅に持って帰るところなんです。だからこれは、元々私が食べる用のものではなくて」