「……立石には、いつも世話を掛けっぱなしだし。こういう時くらいは、家族のことを優先させてあげたくて」
私の手料理が食べたいと、私を呼び出したあの日も。
私を、ドライブに連れだしてくれた、あの日も。
……キスをした、あの瞬間も。
――――俺の方が……幸せにする自信も、ある。
私を見ながら言った、あの言葉。
あれは、誰に向けて言った言葉なの?
ねぇ、下條社長……
下條、さん。
「……なんて。本当は、俺が日下部さんと二人きりになりたかっただけなんだけど」
下條さんは、どうして私の心をそんなにも掻き乱すの。



