焦れ甘な恋が始まりました

 


「娘さん、今年は大学卒業だっていうのに、未だに家族で誕生日を祝うなんて、どんな家族関係なのか容易に想像つくよね。立石も、ああ見えて昔から愛妻家だし、仲の良い家族なんだろうな」


「……、」



柔らかな笑みを浮かべながらそんなことを言う社長を前にして、愛想笑いすら返すことのできない私は、ダメな奴だ。


だけど、今……下條社長を前にして。

下條社長と二人きりの空間で、社長のことを考えずにいるなんて……私には、そんなことは到底できそうもなくて。



「……だから、立石には帰ってもらった。やっぱり、家族で過ごす時間は大切にしないと」



社長……。

社長は一体、何を考えてるんですか?


どうしてあの時、陽の前で私の名前を親しげに呼んだりしたの?


社長があの時話したこと……

その真意も、一体どこにあるんですか?