焦れ甘な恋が始まりました

 


……はぁ。


ゆっくりと、ゆっくりと。

やけに長く感じる廊下を歩いて、社長室の前で足を止める。


その間も溜め息が止まらずに、もう何度幸せを逃がしたことだろう。


……よし。

改めて気持ちを切り替え一度だけ深呼吸。


重厚な扉に手を伸ばし、トン、トン、と目の前の扉をノックすれば――――



「……どうぞ」



この、二週間。

ずっと聞きたいと思っていた人の声が耳に届いて、不覚にも心臓が甘く、高鳴った。