焦れ甘な恋が始まりました

 


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【19時頃、杏の会社の裏口のとこで待ってる】



陽からそんなメッセージが届いたのが、終業の1時間程前。


それに【わかった。ありがとう】と返せば、【よろしく】とだけ返事が返ってきた。


今日中に終えなければいけない仕事を片付け、陽が来るまでには少し時間があったから、明日やらなければいけない仕事も、いくつか片付けた。


そしてふと時刻を見れば、時計は約束の10分前を指していて。


それに慌てて支度をして、給湯室にある冷蔵庫の中の保冷バックを手に持った私は、エレベーターに飛び乗った。


いつも通るロビーから正面玄関へと続く道とは反対に、業者さんが行き来する裏口へと向えば守衛さんが「お疲れ様です」と声を掛けてくれて。


それに「お疲れ様です」と笑顔で返事を返して裏口の扉を開ければ、相変わらずキリリとした雰囲気の印象的な弟の陽が……

何故か、私服姿で立っていた。