焦れ甘な恋が始まりました

 


「日下部さんは、どう思います?」

「えっ!?」

「社長のこと。社長に彼女がいるかどうか……とか、気になりません?」

「っ、」



野次馬心を隠す様子もなく、悪戯に笑った小出ちゃんの言葉に、身の程知らずにも胸が痛んだ。


社長に彼女がいるかどうか、なんて……

そんなの、私にはまるで関係のないことだし、ましてや社長からすれば、そんなことを考えることすら不躾にも程がある。


あんな……たった一度、ドライブで夜の海に行き、子供のようなキスをされたくらいで。


それだけで自惚れるほど、私はもう夢見る乙女ではないとこの三日間、自分に何度も言い聞かせてきた。


ましてや下條社長が私に気がある……なんて、そんなことを考えることすら痴がましい(おこがましい)。