「他の誰かと比べる必要なんてない。自分を必要としている人は、自分で思っている以上に、たくさんいるよ」
「っ、」
「いつも、本当に助かってる。うちの会社を支えてくれて、本当にありがとう」
ふわり、と。
言葉と同時に下條さんの温かい手のひらがポンポン、と頭に触れて、それと同時に涙が堰(せき)を切ったように溢れだした。
ありがとう、なんて。
私には勿体無い程の、まるで宝物みたいな言葉をくださって、私の方こそありがとうございます……
入社当時、総務部の隣で、お昼を食べる時間すら惜しそうに働いている営業部の皆さんを見ては、心配に思ってた。
そんな皆を、少しでも助けられるのなら。
せめて、お昼くらい、ゆっくりと食べる時間を持ってほしいと願いながら、私は今日まで、私なりに考えて仕事をしてきた。
気付いてほしかったわけじゃない。ただ……少しでも、皆の役に立ちたかった。
だからまさか、そんな私を周りの人たちが見ていてくれただなんて、これっぽっちも思わなくて。
もし下條さんの言う通り、少しでも私が、そんな皆の役に立てているのだとしたら、それ以上に嬉しいことはない。
私の気持ちが少しでも届いていたのなら……
私はきっと、こんな何の取り柄もない自分に、これからは誇りを持って生きていける。



