焦れ甘な恋が始まりました

 


……社長のくれた言葉の意味が、理解できなくて。


私は相変わらず縋るような目で、社長を見つめていたんだと思う。


そんな私を、何故かとても愛おしそうに見る社長は、ゆっくりと……


戸惑う私の髪を優しく撫でると、小さい子供に言い聞かせるように、再び丁寧に言葉を紡いでいった。



「日下部さんの作る見積書は、クライアントのその時の状況や、うちの会社との付き合いの長さ、担当営業のスケジュールを含めて、全部考えた上で作られているだろ?だけどそれを営業から聞かされる話しだけじゃなく、自分で全部一つ一つ調べて、事細かくメモを取って」


「っ、」


「うちの会社の殆どのクライアントの状況や現状を、営業どころか会社の誰よりも幅広く把握して、些細なことも零さないようにノートにまとめて知識にしてる。
日下部さんの、そのノート、営業部では“ クライアントレシピ ”って呼ばれてるの、知ってる?」


「クライアントレシピ……?」