「それ、俺のつみきだしっ!!」
「んーんっ、さやのだもん!」
小さい頃からケンカばかりしていたあたし達
でも何故か、仲が良くて
沙夜(さや)の隣には学斗(まなと)が居る。
ずっとそうやって過ごしてきた。
それは今でも変わらない。
「沙夜、それ俺のニット。」
「いいじゃん、ケチ言わなーい!
まなの物はさやの物ー!!」
あの頃と変わらない日々。
あたし達はもうすぐ高校を卒業する。
あたしの名前は 池本 沙夜 、
高校3年生、青春も後半
寒い季節になり、白い息の出る朝
幼馴染の 押ヶ屋 学斗 から
・・・
ニットを借りています。
「いや、貸してねーよ。
お前がパクったんだし。」
「あら?そんなことナイデースヨー♪」
「ったく、昔っからそうだよな、お前(笑)」
「ソーデスカ?
さやはちゃーんと
大人へ向かって日々進ぽ…」
「あ〜、はいはい。」
「あぁー、まな流したでしょー、待ってー」
スタスタと前を歩いて行く学斗を見て、
沙夜はふと思った。
…あれ?まな…こんなに身長あったんだ…。
昔は本当にチビだったのに
もう見上げちゃうなぁ…。
冷え込む冬の日の朝、沙夜は改めて思った。