あのあと教室に行った私は、なぜか奏多から目を離すことはなかった。


馬鹿…

馬鹿…

馬鹿…

ただただ、そう奏多に向って心の中で呟いてた。




「…えっ!香苗!!」

はっ!とした私は横に目をやった。

「栞……?なに」

「…なにって…いうか、最近変じゃない?香苗。もしか…して恋!?」


うきうき顔の栞は、高校に入ってできた私の友達。

特徴:恋バナ大好き!!

そんな栞は、クラスのみんなから愛されている。


「こっ恋!?んなわけないない」

一生懸命手を横に振る私を見て、栞はクスッと笑った。

「してるでしょぉ~~顔がしてるもん♪」

「してないもん」


むきになる私。

恋……してるのかな…?


そっと奏多に目線を向けた。


「香苗」

「なに、栞」

「今、ズバリ!!誰を見つめてた!?」

「はぃ?なんで?」

「それが。ズバリ!!香苗の恋のお相手なのです!!」

……奏多なわけ…ない………はず…。

「あっありえないし!!」

「素直じゃないなぁ~!見つめる理由なんてそれしかないでしょ!!それで!?誰が好き?なわけ」

「好き……なのかな…?」