「きゃぁ―――!!」

「楓様ぁ―――!!」







「なに、あれ」


教室のベランダによりかかって空を眺めたいた私は、目線を下に向け、隣にいる奏多に向って問いかけた。


「知るかっ!!」



私たちが寛いでいるベランダの下では、なんだか化粧が濃い女たちが群がっている。

理由は、生徒会長の曾我楓(そが かえで)先輩が登校してきたから。


顔も良し、頭も良し。

そんな楓先輩は、男女問わず全生徒に人気。

私は、楓先輩みたいな周りにいつも人がいるような人は、ちょっと苦手だけど……。



「……アイツ…生徒会長だよな?」

奏多が、楓先輩の方を見つめている。

「そうだけど…」

「…………」

一瞬、奏多の顔が曇った気がした。

「アイツには、近づくな……」

「え?なにそれ」

まぁ、どうせアンタに言われなくても近づかないけどさ。

「危険な臭いがする」

「………ぷっ」


思わず、笑ってしまった。

だって、危険人物が危険人物だから気をつけろって言っても、まったくって言っていいほど説得力ないし!


「俺は、言ったからな。どうんってもしらねぇぞ、馬鹿にして……」