まだ子供だった私は、小学6年生の夏、本当の恋を覚えた――…



「じゃあ、今から班替えするから1人ずつクジひきに来てー」

教室がザワめいている中、名簿順に並んで1人ずつクジをひいていく。

「2班かぁ」

私はひいたクジを握り、自分の机を新しい場所へと移す。

私の名前は都堺寐希。
小学3年生。

今は3時間目の学活の時間。学期ごとに3回ずつ行われる班替えの真っ最中。

私は窓際の2班のクジをひいた。

「寐希何班やったぁ?」

友達の村井紗紀が私の肩に手を置いて興味津々に聞いてきた。

「2班!紗紀は?」
「ウチ6班!かなり離れたなぁ…」
紗紀はつまらなさそうに言う。

「ホンマやなぁ。でもどうせ授業中は喋ったらあかんし、休み時間遊べるしいいやん!」
「寐希はホンマ真面目やなぁ」
「そんな事ないでぇ」

正直言うと、私は少しホッとしていた。何故かというと、あまり紗紀の事は好きじゃないから。

紗紀にはよく嘘をつかれてきた。
だからあまり近づきたくなかった。
でも、どこか気が合う。
喋っていると楽しい。
ただそれだけで一緒にいる。

「なぁ、宇田は何班やろなぁ?」

紗紀がニヤニヤしながら聞いてくる。

「…さぁ……?」

宇田。宇田明貴は私の好き