誰だ?


聞き間違いだろう。

小さな女の子の声だった。


「ねぇ....ねぇってば!」

ん?

僕のことか?


僕は驚いて振り返った。


「ぼ、僕?」

「うん!そう!」

僕なんかに何のようなんだろうか。

「な....何の用....?」

「あのね、キミ、傘持ってないでしょ、たくさん濡れるのに何でかなぁって!」

そーゆうことか。
同情か。

「ぼ....僕....かさ、持ってないんだ」

どうせこの子も冷やかして帰っていくんだろうな。