その日の夜、わたしは眠れなかった。 おどけたように舌を出して通り過ぎていった、あの男の人が忘れられなくて…。 一瞬だった。 すれ違っただけの人を忘れられないなんて…こんなことって本当にあるの? 『運命の、出会い…?』 一人、呟いてみる。 そして、鼻にアイスクリームをつけて間抜けな顔をしていたであろう自分に恥ずかしさが込み上げる。 恥ずかしさを振り払うように、枕に深く顔を埋めた。 『…運命なら、また会えるよね…?』 そう言ってそっと触った自分の鼻は、少しだけ熱かった。 ・