『短編』恋する街角

 


『…彩ちゃんが幸せになってくれれば、それでいい。』



野口くんの声に優しさが溢れ、わたしは今にも零れ落ちそうな涙を堪えようと、顔を上げた。



その時一


隣の車両に、会いたかった人の姿が見えた一。



『あの人…。』


『彩ちゃん?』


野口くんが不思議そうに言ったのも耳に届かず、わたしは隣の車両に向かって走り出した。