「…嬉しい、の?」

俺の胸に顔を埋めたまま、朱莉が呟いた。

「嬉しいよ。…調教しがいがあるし」
「…⁈」

俺の言葉に、朱莉の体がビクッとなった。…こんな時にまで、意地悪心が働く俺も俺だが。

「一から丁寧に教えてやるから覚悟しろよ?」

「…司、何考えてんの?」

少し声が震える朱莉。

…ちょっと、苛め過ぎたか?

「…冗談」
「…ふぇ?」

「…あんまり朱莉が危機感持たないから、お灸すえた。…嬉しいのは、本当だよ。朱莉は、俺だけの大事な宝物だよ」

その言葉に、頬を染める朱莉。
…うん、よくよく考えてみれば、男に対する免疫が無さ過ぎるよな。彼氏に触れられるのも、抵抗があったって言ってたし。

直ぐに、分かる事なのに…

「…大事にするよ、朱莉の事。…だから、朱莉も、周りの男に対して、危機感持てよ。…四六時中一緒に居られるわけじゃないんだから」

その言葉に、朱莉は小さく頷いた。