…ブレーカーを確認したが、ここが原因ではなく、変電所に落ちたのだろう。

外を見れば、周りも暗かった。

「・・・ぁ」

またしても雷の音が響く。

懐中電灯の明かりを点け、朱莉の下へ行くと、朱莉が泣いていた。

…どんだけ怖がりなんだよと、突っ込みたい衝動に駆られたが、傍まで行くと、朱莉の手を取った。

「…電気、つきそうにないから、もう、寝よう」
「・・・う、ん」

ヒックヒックとしゃくりあげる朱莉の手を引いて寝室に向かう。

先にベッドに朱莉を寝かせると、懐中電灯を切り、俺もベッドに潜り込んだ。

「…眠れそう?」
「…雷が止めば」

…困ったヤツだ、と思いつつ、それでも、そこが可愛いと思う。

俺は、耳を塞ぐ朱莉を自分の方に引き寄せた。

「…離さないで」

またしても素直にそう言う朱莉。

…ただでさえ、理性を保つことに集中していると言うのに。

「…怖くなくなるおまじない、してやろうか?」
「…そんなのあるの?」

…俺を見上げたあかりの唇に、自分の唇を重ねた。

・・・さっきまでの恐怖はどこへやら。

朱莉は固まってしまった。

「これでもう、何も怖くない」

そう言って朱莉の頭を優しく撫でると、俺は目を閉じた。

これは、怖くなくなるおまじないなんかじゃない。

…これは、好きになってほしいと言う、俺の願い。