駅からすぐ近くのイタリアンで食事を済ませた俺達は、家に帰る。

家に帰ると、朱莉を先に風呂に入るように促し、その次に俺が風呂に入った。

風呂から上がると、朱莉はまだ髪を乾かしている。長い髪だ。乾かすのも時間がかかる。

俺は、朱莉からドライヤーを奪うと、いつものように朱莉の髪を乾かしていく。

最近はもう、こうやって乾かす行為を断らなくなった朱莉。断っても、俺が強引に進めるので、諦めたらしい。

綺麗に乾いた髪。俺はドライヤーを切り朱莉に告げた。

「終わったよ」
「ありがと…キャッ!!!」

朱莉のお礼と同時に、雷のけたたましい音が聞こえた。…今夜は雷雨だって天気予報で言ってたっけ。

「…雷、嫌いなのか?」
「嫌いって言うもんじゃ…キャッ!」

またしても雷の音が聞こえ、それと同時に、停電してしまった。…ブレーカーが落ちただけなら、上げればまた点く。

俺はブレーカーを見に、立ち上がろうとすると、また雷が聞こえ、叫び声と同時に、朱莉が俺に抱きついてきた。

…よっぽど雷が嫌いと見える。…1人暮らししていた朱莉は、雷が鳴っている時は、一体どうしていたんだろうと、思わずにいられなかった。

「…ブレーカー見に行きたいんだけど」
「怖い・・・」

何時にもまして、素直に怖がる朱莉。…こうやって抱きついてくれるなら、鳴り止まなければいいのに、と思ってしまう俺はいけないだろうか?

…でも、このまま抱きつかれていたら、自分の理性を保つ自信は・・・ない。

「…すぐに帰ってくるから」
「・・・う、ん」

「怖ければ、俺が来るまで耳塞いでろ」
「・・・うん」

素直に耳を塞いでいる朱莉がなんとも可愛い。