「…おい、朱莉起きろ」
「…ん~、後5分」

「そろそろ家でないと遅刻するけどいいんだな?」
「・・・ん?」

ゆっくり目を開けると、呆れ顔で私を見下ろす司の姿が映り込んだ。…ビシッと決まったスーツ姿で。

「ギャッ!ウソ、遅刻?!」

私の脳は一瞬で覚醒すると、ガバッとベッドから起き上がった。

バタバタと着替えを出し、服を脱ごうとすると、ドアにもたれ私を見物してる司が目に入って顔が青ざめた。

「バカ司!出てけ!着替えが出来ないじゃない!」

傍にあった枕を司に思いっきり投げた。

・・・のに、司はスッとそれを容易に交わした。…ふん、ムカつくヤツ。

「はいはい、そんなお子ちゃまな体見ても、しょうがないし」
「ッ~~~!!!ばか!」

頭にきた私は、スリッパを投げた。

…しかし、無情にも、そのスリッパは、ドアに阻まれて、床に落ちていた。

「あ~、もう!むかつく」

そんな事を言いながら、アタフタと身支度を整える。

「あ、いけない。顔洗わなきゃ」

…ガチャ。

寝室のドアを開け、洗面所に向かう。

・・・そこには、ちゃんと、洗顔とタオルが用意されていた。

「…イチイチムカつくヤツ」

・・・でも、ありがと。…口では絶対言ってやらないけど。