「…はい、終わり」
「…ありがとう…あのさ」

前を向いたまま、朱莉が言う。俺は黙ったまま、次の言葉を待った。

「いつもと違う」
「…何が?」

「司の態度が…優しくて調子が狂う…なんか、気持ち悪い」

その言葉にちょっとムッとした俺は、朱莉の方に回り込み、両頬をつまんだ。

「いっ!いひゃいお〜」

言葉にならない言葉を発する朱莉。

「…俺はいつも優しいんだよ」
「…」

…明らかに疑いの目で俺を見る朱莉。

…ま、朱莉以外の人に優しい。が、正解だけど。

つまんだ事で、イラっとした気持ちが落ち着いた俺は、朱莉から手を離した。

朱莉は頬をさすりながら、俺を睨む。

「…どこが、優しいのよ」
そんな言葉はあっさりスルーして、俺は次の言葉を発した。

「…眠いから寝る。明日も早い」

…只今の時刻、午前0時。

いい加減に寝たい。