「片付けは俺がするから、風呂入ってこいよ」

そう言いながら、皿を持ってキッチンに向かう。

「ダメ、居候の分際で、主人より先にお風呂になんて入れないよ。ここは私がするから、さっさとお風呂に入ってきて」

俺から皿を奪い取った朱莉は、それを持ってキッチンに消えた。

…ったく。本当に意地っ張りだな。と、溜息をついた。

片付けを済ませ、ソファーの隅にちょこんと座っている朱莉。

…借りてきた猫だな。そんな朱莉に意地悪心が芽生えた俺。

後ろからそっと近づいた俺は、耳元で囁いた。

「…朱莉、風呂」
「…‼︎」

ビクッとした朱莉がぐるっと俺の方に勢いよく向いた。

「「…」」

数秒間繋がった俺と朱莉の唇。

…不覚にも柔らかいその唇に、どきりと心臓がはねた。