「…それは、本当、ごめん。阻止できなかったから…俺だって、朱莉が誰かとあんな事してる場面に出くわしたら、男を殴り飛ばすくらい腹立つし」

その言葉にちょっと驚く。

私の顔を見た司は優しい笑みを浮かべる。

「…司が言った事、全部信じるよ。…疑って、ゴメンね?」

「なんで、疑問形?」

そう言って笑いながら、司は私を抱きしめた。私も抱きしめ返して、もう一つの疑問を投げかける。

「…さっき言ってた事は?」
「…え?」

「…三十路まで4年もあるとか、私と恋人の時間を楽しめたとか」
「あ〜…。ま、それはいいじゃん」

「え⁈言われたら気になるし!」

そう言って司に詰め寄ったが、司はわらうだけで、結局はぐらかされてしまった。

…深い意味はないのかな?…うん、ないから、答えに困ったのかも。

そう思って、その話は、気にしない事にした。