「出たあああああああっ!!」 あたしは背後に居た黒澤進也を見て、もはや悲鳴にも似た叫びをあげていた。 黒澤進也は目が点だ。 「いくらなんでも"出た"は酷くね?」 「…ごめん、つい。」 うわ、気まず。 一応言っておくと、これが初めてあたしと黒澤進也が交わした言葉だ。 「"出た"ってさ…何、俺のことでも考えてたの?」 「なっ…そんな訳ないでしょ?!」 冗談ぽく笑う黒澤進也にあたしはムキになって反論する。 「冗談だっつーの。」 案の定、黒澤進也はそう言って笑った。