ある日の休み時間、あたしはいつものように雪奈と麻耶と話していた。 今朝通学中にイケメンとすれ違ったとか、そんな他愛ない話。 内容が詰まってなんかいなくても、一緒に話しているだけで楽しかった。 ふと聞こえた笑い声に、耳を傾ける。 ここ2週間で、この笑い声にもだいぶ聞き慣れた。 いかにも笑っている感じの笑い声。 それなのに、わざとらしさは微塵も感じられない。 …――黒澤進也のものだった。