幸せって、なに

「やっぱり及川か。
背格好といい雰囲気といい
似てるなと見かける度に思ってたんだ。
何で僕ん家見上げてるの?
そして何で新聞配達なんかしてるの?」
帽子を持ったまま聞いてきた。

「私の事には関わらないんじゃなかったの?」

本当は声を掛けてくれて凄く嬉しかったのだが
素直になれなかった。

「そのつもりだったけど
及川があまりに奇抜な事してるから
関わらずにはいれなかったのさ。」
「奇抜って!」
「あ、気に障ったのならごめん。
まさかとは思うけど君ん家そんなに困ってるの?
勉強に差し障りないの?」

「…。」何も言えなかった。