あのこの天然は計算し尽くされている

その少年はかなりの美形で、
莉歩を少し睨むような瞳でも様になっている。

「あんた──、いや、何でもない。
今度から気を付けな」

何かを言いかけたが、結局何も言わずに
足早と去っていった。

(なんか、───さんみたいだったな)

そんな少年の背中をみて莉歩は
昔の思い出を懐かしむ。

しかし、それは一瞬のことで、次にはまた
作ったような完璧な笑みをうかべた。