あのこの天然は計算し尽くされている


と。

シュッ、という音がして、男の体がくの字に
曲がる。

「大の大人がさかってんじゃねぇよ」

凛とした声が聞こえる。
どうやら、その声の主が男から莉歩を守ったようだ。

男は、なにやら喚きながら走って行った。

「あの、ありがとうございます」


莉歩は俯きながら礼を言う。

ちらりと見ると、
どうやら男の子──同い年位の──が
莉歩の方をじっ、とみていた。