あのこの天然は計算し尽くされている

大抵こういうタイプの男は聞き返されると
気まずくなってもうなにもしてこない。

日頃の経験から、莉歩は分かっていた。

思った通り、男は急にどぎまぎしだした。

──バカなやつ。

冷たい目で男を見て莉歩は思う。

(みんな見かけが全てなのね)

バレッタをいじりながら小さく深呼吸をする。



すると、突然鋭い痛みが腕にはしった。

「っ!?」

もう、話は終わっているとばかり思っていた
あの男が目をぎらぎらさせて
腕をつよくにぎっていた。